65歳以上のシニアの体:筋トレ効果と変化はいつ頃起きて来るのか?

65歳で会社を卒業すると暇な時間が増える。暇な時間を有効に使うと同時に健康寿命を延ばすためにスポーツジムで筋トレを始めるシニアが増えている。還暦を過ぎると気が付かないうちに体形が崩れてくる。運動量が減り、体に脂肪が付きやすくなる。ヘソから上に脂肪が付き始め脇腹を触れば掴めるほど脂肪が付いている。

人間ドックを受ければ生活習慣病の予備軍と診断される。そんなシニアが当たり前のように増加している。平均寿命が82歳。82歳になる前に健康寿命72歳が来てしまう。普通の生活が出来る年齢を伸ばすには今から定期的に運動を始めるしか方法が無い。

シニアが一番危惧するのは脚力である。年齢とともに歩行障害が生まれて来る。足の筋肉量が減ってくる。ある時点で自分の足を動かすのが辛くなる。それが分かっているシニアほどスポーツジムで筋トレを始めている。

get in shape

シニアの体は年齢とともに使わなくなる。自分の足を使わずに文明の利器を優先的に使う。階段の代わりにエスカレーターやエレベーターを使う。歩ける距離なのに自動車で行く。老化で体が疲れやすくなるため体は楽をする方法を好み始める。10メートル先に横断歩道や歩道橋があるのに道路を渡ってしまう。

体を楽にする生活を続けると体の筋肉がどんどん使われなくなり、体は使われない筋肉を削って行く。その事実を知っていても何も対策を取らないシニアがいる一方で一生懸命スポーツジムで筋トレに励むシニアもいる。

筋肉が増えて脂肪が減り自分の体格が変わって来たと感じる

筋トレを始めたシニアは筋トレ効果がすぐに表れると期待する。失われた足の筋肉が元に戻ると淡い期待を抱く。現実は最低1年間はかかる。個人差はあるが数か月では効果が体に目に見える形で表れない。筋肉細胞は6か月間で身体のすべてが入れ替わるからだ。筋トレの刺激で筋肉細胞が肥大化するには少なくとも半年待つ必要がある。

ただ、筋力や耐久力は数値として目に見えるようになる。腕立て伏せが当初10回も出来なかったのが1か月後に10回以上できるようになるとかである。筋力は増加しても筋肉量が増えるのに時間がかかる。

筋肉細胞の半分は約48日間で入れ替わる

筋肉は約48日で入れ替わるというのは一般的な目安である。筋肉を構成する細胞は、種類によって入れ替わるスピードが異なる。例えば、骨格筋細胞は、早いものでは1ヶ月で約60%、遅いものでは約200日で全て入れ替わるといわれている。

筋トレを48日間続けても体の半分の筋肉しか影響を及ぼさない。最低でも3か月以上筋トレを続けないと全身の筋肉細胞に影響を及ばせないことになる。3か月間を1クールとして考えても体に目立った筋肉の変化は起きない。自分の目で変化を自覚するには最低でも1年間ぐらい必要になると私は感じている。

シニアが筋トレで筋肉量や体形の変化を自覚したいならば、1年間の筋トレを目標にして励む必要がある。

筋肉を増やすための必須条件3つ

筋肉を作る材料としてタンパク質、ミネラル、ビタミンなどが必要になる。筋トレをしても筋肉を作る材料が無いと筋肉は増えない。筋肉は定期的に鍛える部位を狙って筋トレメニューをこなして行かないと目に見える形として体に変化が現れない。

人間の体はどうしても十分な休息が必要になる。筋トレで疲れた体を回復する過程で成長ホルモンが分泌され筋肉細胞の入れ替わりが起きる。新陳代謝が活発に起きないと筋肉は成長しない。筋トレをただやれば良いという物でもない。以下の3つの要素を考慮する必要がある。

  1. 筋肉を作る材料を意識してバランスよく体に取り入れる(タンパク質の多い食事、ミネラルやビタミン)
  2. 定期的な筋トレ(週2回)
  3. 十分な休息(筋トレ後2日間の休息)と睡眠(7時間から8時間)

シニアの筋トレで注意することは焦らないで無理をせずに筋トレを続けることである。

体の変化を見るにはどこの部位を観察すべきか?

胸、腕、背中は筋トレの初期効果として変化が見られやすい部位。ただし、その部位を鍛える筋トレメニューをしていること。ベンチプレスで胸と腕が鍛えられ、懸垂で背中の広背筋が鍛えれる。一般的に特定の部位を1年間鍛え続けると目に見える体の変化が分かる。個人差はある。人によっては6か月間で体の変化に気が付く。

筋トレ初心者は体の変化よりも特定の筋トレ種目をする回数が増えて行くことで筋肉の成長を感じ取る。例えば、自重を使ったスクワット運動。スクワットが1セット10回出来なかったのが出来るようになったり、懸垂が1回も出来なかったのが1回出来るようになったりする。

筋トレを始めて1年間は体の変化よりも筋トレのメニューでこなす回数に変化を感じ取れる。回数やセット数が増えるに従い、知らないうちに体の中で筋肉細胞が肥大化し始める。お風呂に入る前に自分の体を鏡に映した時、二の腕のサイズが大きくなっていたことに気が付いたりする。湯船の中で太ももとお尻を触ったら贅肉が取れていた事に気が付く。

筋トレを続けると変化は筋トレメニューで行うセット数や回数にでる。その後にある日ある時に体の変化に気が付くようになる。

筋トレの効果を感じない、見られない

3か月間真面目にスポーツジムに通って筋トレを続けても体にその効果が出てこないというシニアが多い。その理由は色々ある。例えば、筋肉を作る材料が食事から十分取得出来ていないとか。筋肉疲労の回復を促すミネラルやビタミン(亜鉛、マグネシウム、ビタミンB群、ビタミンCなど)が少なかったり、睡眠時間が不十分であったりする。

筋トレのメニューが筋肉肥大を目指すメニューになっていなかったりする。後は、個人の体質かもしれない。遺伝的に細身の人が急に筋肉もりもりの体にはならない。1年経過しても筋トレの効果が見られなかったときは下記のことを再チェックすることである。

1.筋肉肥大を目指す筋トレメニューになっているかどうか
2.毎食時にタンパク質の多い食材を取っているか(自分の体重x1.2倍のタンパク質量(グラム))
3.疲労回復に必要な休息期間(2から3日間)と十分な睡眠時間
4.週2回定期的に筋トレをしているかどうか
5.筋トレ後翌々日辺りに筋肉痛を発症しているかどうか

68歳シニア男性である私の体験談

筋トレ歴が長い私の体は筋トレを本格的にやり始めた5年前と比較して体形がすごく変わった。5年前の体格は肩幅が普通。今は逆三角形の上半身になっている。一目見てわかる筋肉の盛り上がりが肩から首にわたる僧帽筋である。

この効果は懸垂をやり始めて起きてきた。当初は懸垂が3回出来れば良い方であった。週2回スポーツジムで懸垂をやれるだけやった。目標を1セット10回ストレートに出来ることにした。この目標が達成された時に私の体は逆三角形の上半身に変わっていた。

普通のシニアは懸垂が1回出来れば良い方である。それを10回出来るようにするには最低1年は時間を要する。私は懸垂を本格的にやり始めて3年以上たっている。指圧マッサージに行くと必ず指圧師から体を鍛えているでしょ!と言われる。それほど筋肉がついてきている。

最近は下半身の太ももとヒップの筋肉を鍛えるためにフリーバーを使ったスクワットをやり始めている。まだ1年もたっていないが、その効果は太ももとお尻当たりにある贅肉の減少に表れている。太もものサイズも少しづつ大きくなっているような感じがする。

筋トレを本格的に始める5年前は週1回の頻度でスポーツジムで筋トレをしていた。それを週2回にしたらその効果が体に表れた。週1回の筋トレは現状維持でしかなかったことを悟った。基本、筋トレは週2回でないと体に効果が表れ難いということである。

筋肉は筋トレを数か月やり続けたからと言ってすぐに体に盛り上がってこない。変化は年単位で考えた方が分かりやすい。特にシニアは若者の体と違って成長ホルモンの分泌が少ないので若者以上に時間がかかる。

 結論

筋トレ効果と変化が身体に目に見えて分かるようになるまで最低1年間はかかる。何故ならば体全体の筋肉細胞が入れ替わるのに6か月間かかる。筋肉量の増加は3つの要素で変わる。1)筋トレメニュー内容、2)タンパク質の取得量と栄養バランスの取れた食事、3)十分な休息と睡眠時間などである。重要なのは焦らないで無理をせず時間をかけて筋トレを続けることである。

筋トレを続ける過程である日ある時、洗面所の鏡を見て自分の体に筋肉が増えてきているのに気が付く。飲食に注意しながら筋トレで消費カロリーを増やすことで健康的な体を手に入れることが出来る。体重を減らすならばダイエットよりも筋トレである。タンパク質の多い食事をしながら脂肪と炭水化物の量を減らし、筋トレを続けるだけで生活習慣病の予備軍から外れられる。